【よくいただく質問】米国401K等の帰国後の取扱いについて

最終更新日:2025-08-25|監修:浅井匠也税理士事務所(千葉市/海浜幕張)
本記事は条文・通達・公的解説に基づく保守的実務でまとめています。最終判断は個別事情で変動します。

米国年金・401(k)/IRA 申告サポート標準報酬(目安)税込11万円〜
英語書類OK/オンライン完結/千葉市海浜幕張

目次

要点

  • 対象者:日本に居住(帰国)し、米国の年金・401(k)・IRAを受け取る方。
  • 課税国:原則居住地(日本)で課税。政府職員の年金は条約上の例外あり。
  • 区分の原則:
    • 米国ソーシャルセキュリティ雑所得(公的年金等)
    • 401(k)/IRA:年金形式の受給は雑所得(公的年金等以外=その他)で整理/退職前一括等の一時金は一時所得となり得る。
  • 円換算:原則、受給日(支払日)の為替相場を継続適用(実務上TTM相当)。
  • 申告不要制度:海外年金は通常日本の源泉徴収なしのため原則適用外申告が必要
  • 米国側の源泉税:W‑8BEN提出で条約適用により免除/軽減できる場合あり。天引き済みなら米側還付または外国税額控除を検討。

対象者(スコープ)

日本の居住者は原則全世界所得課税。非永住者の特則(送金課税等)はあるものの、年金は租税条約の規定(居住地課税)の影響が大きく、日本での申告前提となるケースが多いです。

どこで課税?(日米租税条約の考え方)

  • 年金(ソーシャルセキュリティ等を含む)居住地国で課税が原則(条約第17条)。
  • 政府職員に係る給与・年金政府職員条項(第19条)により課税国が異なる可能性(例外)。

早見表(所得区分)

受給の種類日本での区分(原則)計算の枠組みメモ
米国ソーシャルセキュリティ雑所得(公的年金等)公的年金等控除を適用「公的年金等」に該当
401(k)/IRAを年金形式で受給雑所得(公的年金等以外=その他)受給額 − 対応する拠出元本(按分)保険型の私的年金と同様の整理が安全
401(k)/IRAを一時金で受給一時所得(年金に代わる一時金)(受給額 − 拠出元本 − 特別控除50万円)×1/2退職前一括等の典型
政府職員に係る年金条約の例外(個別判定)条約第19条を精査要資料確認

注:「公的年金等」は社会保障制度に基づく年金を指し、401(k)/IRAは含まない扱いが保守的です。私的年金は「公的年金等以外の雑所得」または一時金なら「一時所得」で整理します。

円換算の原則(外貨建取引)

受給日(支払日)の為替相場で円換算するのが原則。実務ではTTM相当継続適用します(方式の一貫性が重要)。

申告不要制度の可否

公的年金の収入が400万円以下等でも、日本での源泉徴収が全額行われていることが要件。海外年金は通常、日本の源泉なしのため原則、適用不可確定申告が必要です。

やることフロー/必要書類

  1. 居住者区分・条約適用の確認(政府年金の該当性含む)。
  2. 所得区分の判定(公的年金等/その他の雑所得/一時所得)。
  3. 円換算(受給日相場・継続適用)。
  4. 米側の源泉W‑8BENで条約適用を申告、誤控除は米側還付または外国税額控除を検討。
  5. 日本の確定申告(外国税額控除の要否判断・明細書の添付)。

必要書類の例:SSA‑1099(Social Security)、1099‑R(年金/IRA分配)、支給明細、米国源泉の証憑(1042‑S等)、W‑8BEN控、受給日ごとの円換算根拠(為替相場)。

ケーススタディ(簡略)

ケースA:ソーシャルセキュリティのみ(65歳)

年間$12,000 → 受給日相場で円換算し公的年金等として申告。
申告不要制度日本源泉がないため原則不可

ケースB:401(k)を退職時に一括受給(受給開始前)

$80,000受給/元本$20,000 → 一時所得
課税対象=(円換算受給額 − 円換算元本 − 特別控除50万円)×1/2

ケースC:401(k)を年金形式で受給

年$18,000 → 雑所得(公的年金等以外)
所得金額=受給額 − 対応する拠出元本(按分)。

ケースD:米側で30%源泉されていた

条約上は居住地課税が原則。W‑8BEN提出で免除/軽減可。既に天引きされた場合、米側還付または外国税額控除を検討。

よくある質問(FAQ)

非永住者なら送金しなければ日本で課税されない?

年金は条約で“居住地課税”が原則非永住者の一般ルールより条約適用が優先されます。

W‑8BENを出せば日本での申告は不要?

いいえ。米国側源泉の免除/軽減の手続きであり、日本での申告要否とは別です。

為替レートは何を使う?

受給日ベースで、対顧客相場の中間(TTM相当)等継続適用。根拠は所得税法57条の3・基本通達57の3‑2等。

公的年金の「申告不要制度(400万円以下)」の対象?

日本の源泉徴収が全額行われている公的年金に限るため、海外年金は原則対象外です。

料金と支援の流れ(目安)

  • 標準報酬(目安)税込11万円〜(SSA‑1099・1099‑R各1枚、外国税額控除なし)
  • 追加費用:書類点数が多い場合/外国税額控除計算

ご支援のながれ①15分ヒアリング → ②区分判定・見積 → ③書類受領 → ④計算・申告 → ⑤アフター(翌年最適化)

参考リンク・根拠

English quick summary

Where taxed? Under the Japan–US tax treaty, pensions (incl. US Social Security) are generally taxable in the country of residence (Japan). Government pensions may be an exception.
What category? US Social Security → public pension; 401(k)/IRA → miscellaneous income (non‑public pension) when paid as annuity; lump‑sum may be “temporary income”.
FX rate: Use the payment‑date rate consistently.
Filing: Japan’s “no‑return” rule requires Japanese withholding, which foreign pensions usually don’t have—so filing is generally required.
US withholding: Provide Form W‑8BEN to claim treaty benefits; if withheld, consider US refund or Japan’s foreign tax credit.

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