法人税の申告期限を過ぎたら?千葉の法人が先に確認する期限後申告・納付・必要資料

疑問

決算月は覚えていたのに、申告期限が「決算日の2か月後」だとは知らなかった。会計ソフトを開くと未処理が残り、気づけば期限を過ぎていた。

こういうとき、まず考えたくなるのは「帳簿が完成するまで申告しない方がよいのか」ということです。しかし、待てば自然に状況がよくなるわけではありません。期限後申告は、何が終わっていて、何が未確定なのかを早く分けるところから始まります。

目次

結論:期限を過ぎたら、申告・納付・資料整理を同時に進めます

法人税の確定申告書は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に提出します。期限延長の適用がある法人は別ですが、「決算がまだ固まっていない」「税理士が決まっていない」という理由だけで期限が延びるものではありません。

期限後は、完成するまで何もしないのではなく、次の順番で進めるのが実務的です。

  1. 決算日と本来の申告期限、延長申請の有無を確認する
  2. 法人税だけでなく、消費税、法人県民税・事業税、法人市民税の対象を洗い出す
  3. 帳簿の未処理と不足資料を一覧にする
  4. 税額を計算し、申告書を提出する
  5. 本税と、必要に応じて加算税・延滞税を確認する

ここがポイントです。申告書の提出と税金の納付は別の手続です。申告書を出しただけで納付まで終わるわけではありません。

そもそも、いつから「期限後」になる?

たとえば3月末決算の法人なら、原則の申告期限は5月末です。期限の日が土曜日、日曜日、祝日等に当たるときは、その翌日が期限になります。

ただし、定款の定めや会計監査などを理由とする申告期限延長の特例を受けている法人もあります。以前の税理士が届出をしていた、グループ会社の手続に合わせていた、といったこともあるので、過去の申告書と届出書を先に確認します。

消費税も、法人は原則として課税期間終了日の翌日から2か月以内です。法人税の延長があるから消費税も当然に同じ、とは限りません。消費税には別の延長特例がありますので、ここは分けて見ます。

税額がゼロなら、申告しなくてもよい?

赤字なら法人税の納付が出ないことはあります。だからといって、申告そのものが不要になるわけではありません。

千葉市内に事務所等がある法人では、赤字で法人税割が生じなくても、原則として法人市民税の均等割があります。県税についても申告先を確認します。複数の自治体に事務所等があれば、提出先が一つとは限りません。

さらに、青色申告法人の欠損金の繰戻し還付など、確定申告期限内の手続が関係する制度があります。赤字だから後回しでよい、という話ではないんですよね。

期限後申告で増える可能性があるもの

期限後に申告すると、本来の税額とは別に、無申告加算税や延滞税がかかる場合があります。

無申告加算税は、期限内に申告書を提出しなかったことに着目するものです。延滞税は、法定納期限の翌日から実際の納付日までの期間に応じて計算されます。税務署からの調査通知前に自主的に動いたか、期限後申告となった事情、納付税額などで取扱いが変わるため、割合だけを見て自己判断しない方が安全です。

また、加算税や延滞税は、法人税の計算上、原則として損金に算入できません。遅れた分を経費にして相殺できる、という仕組みではありません。

青色申告は、一度遅れたらすぐ取り消される?

一回の期限後申告だけで、すべての法人が機械的に青色申告を取り消されるわけではありません。

一方で、法人の青色申告承認の取消しには国税庁の事務運営指針があり、複数事業年度にわたる期限後申告などは確認が必要です。過去にも遅れがある場合は、今回だけを直すのではなく、申告履歴、税務署からの通知、欠損金の残高まで一緒に確認します。

そう単純ではありませんが、早く申告すれば過去の遅れが消えるということでもありません。現在地を正確に把握することが先です。

帳簿が未完成なら、どこから手を付ける?

申告期限を過ぎた案件では、通帳を会計ソフトへ入れただけで決算ができるケースは多くありません。売上、在庫、固定資産、給与、借入金、役員との資金移動など、決算日現在の残高を確かめる必要があります。

最初に、次の資料をそろえます。

  • 前期の法人税・消費税・地方税の申告書一式
  • 当期の総勘定元帳、試算表、仕訳データ
  • 預金、借入金、クレジットカードの期末残高が分かるもの
  • 売掛金、買掛金、未払費用、在庫の一覧
  • 固定資産の購入・売却が分かるもの
  • 給与、源泉所得税、社会保険料の集計
  • 株主・役員との貸し借りが分かる資料

資料がない項目は、ないままにせず「未取得」として一覧にします。何が足りないか分からない状態が、いちばん時間を使います。

退職者が出た時

自社で記帳していた法人が、決算後に担当者の退職で処理を止め、数か月たってから期限超過に気づいたとします。

まず前期申告書と当期データを確認すると、銀行取引は入力済みでしたが、売掛金の消込み、在庫、役員立替金が未処理でした。この場合、すべてを最初から入力し直すのではなく、未処理項目を限定し、残高を合わせてから申告書へつなげます。

同時に、消費税の課税方式、地方税の提出先、過去の申告遅れを確認します。結局、これが一番の近道です。

税理士へ相談するなら「全部そろってから」では遅い?

期限を過ぎているなら、資料が全部そろう前でも相談して構いません。決算日、最終申告年度、会計ソフト、消費税の申告状況、未処理の範囲が分かれば、受任可否と作業順はある程度判断できます。

ただし、依頼すれば必ずすぐ申告できるとは限りません。帳簿の状態、無申告の年数、在庫や海外取引の有無によって必要時間は変わります。税務署から連絡が来ている場合は、その内容と回答期限を最初に伝えてください。

通常の決算申告だけを依頼するか、今後の月次顧問まで含めるか迷っている方は、決算申告だけの依頼と顧問契約の違いも参考になります。料金の考え方は法人顧問料金ページでご案内しています。

よくある質問

Q1. 税務署から連絡が来るまで待ってもよいですか?

おすすめしません。自主的な期限後申告か、調査通知後かなどで加算税の取扱いが変わる場合があります。まず申告状況を確認し、早めに対応してください。

Q2. 納税資金が足りないと、申告書も出せませんか?

申告と納付は別です。納付が難しいから申告しない、とはせず、申告準備を進めたうえで、所轄税務署へ納付方法や猶予制度を相談します。猶予が認められるかは個別事情によります。

Q3. 前の税理士が申告しているか分かりません

申告書控え、e-Taxの受信通知、納税記録を確認します。手元にない場合は、取得できる記録を整理してから、未申告かどうかを判断します。

Q4. 期限後申告だけを税理士へ依頼できますか?

対応できる場合はあります。ただし、複数年の無申告、帳簿未作成、消費税や源泉所得税の未処理があると、通常の決算申告とは作業範囲が変わります。事前確認のうえで個別見積りとなります。

申告が遅れたときほど、最初の整理が大切です

期限後申告では、慌てて数字を埋めることより、申告期限、対象税目、未処理、納付の4点を分けることが大切です。期限を過ぎた事実は変えられませんが、今日からの遅れは増やさずに済みます。

浅井匠也税理士事務所では、千葉の法人を中心に、帳簿の状態を確認したうえで期限後申告や今後の経理体制をご案内します。ご相談の際は、決算月、最後に申告した年度、利用中の会計ソフト、税務署からの連絡の有無をお問い合わせフォームからお知らせください。

本記事は一般的な制度と実務上の確認順を説明するものです。加算税、延滞税、青色申告の承認、地方税、納税猶予の取扱いは、申告履歴や個別事情によって異なります。実際の申告前に税理士または所轄官公署へご確認ください。

公式参考資料

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この記事を書いた人

公認会計士・税理士・宅地建物取引士
浅井匠也税理士公認会計士事務所 代表
大手監査法人である有限責任監査法人トーマツ(デロイト トーマツ グループ)にて、上場企業の会計監査や連結決算・開示対応に従事。その後ジャパン・ビジネス・アシュアランスを経て、2019年に千葉市美浜区・海浜幕張にて独立、浅井匠也税理士公認会計士事務所を開業。

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