freeeのホーム画面では銀行口座の残高が表示されているのに、ネットバンクを開くと金額が違うことはありませんか。差額を埋める仕訳を入れれば済むように見えますが、ここで雑収入や雑損失を使うと、原因を隠してしまうことがあります。
結論からいうと、最初に「最後に残高が合っていた日」を探し、その翌日から通帳明細と帳簿を一行ずつつなぎます。同期の遅れ、明細の未登録、手入力との二重計上、口座振替の片側だけの登録を順番に確認すると、差額だけを見るより早く原因へたどり着けます。
まず「同期残高」と「登録残高」を分けて見ます
freeeに銀行口座をつないだだけで、帳簿が完成するわけではありません。銀行から取得した明細と、その明細をもとに会計帳簿へ登録した取引は、別の段階です。
freeeの公式ヘルプでは、銀行から取得した最終残高を「同期残高」、登録済みの取引から計算した帳簿上の金額を「登録残高」として説明しています。明細を取得しても取引登録が済んでいなければ、この二つは一致しません。
| 見る金額 | 意味 | ずれる主な理由 |
|---|---|---|
| 銀行の実残高 | ネットバンクや通帳にある残高 | 基準日や未記帳の銀行取引 |
| freeeの同期残高 | 銀行から最後に取得した明細の残高 | 同期停止、取得期間、金融機関側の更新待ち |
| freeeの登録残高 | 帳簿へ登録した取引から計算する残高 | 未登録、重複、開始残高、口座振替の誤り |
ここがポイントです。三つの金額を一度に合わせようとせず、まず銀行の実残高と同期残高が合うか、その後に同期残高と登録残高が合うかを分けます。
残高が合わないときは、差額ではなく日付から追います
差額が12万円なら、12万円の取引を探したくなります。しかし、6万円の二重計上が二件、入金の未登録と支払の重複が同時にある、といったこともあります。差額と同額の取引が見つからないのは珍しくありません。
- 比較する日を決める:月末、週末など、銀行とfreeeを同じ日付で比較します。
- 最後に合っていた日を探す:前月末、さらに前月末とさかのぼり、差額が発生した期間を狭めます。
- 同期状態を確認する:エラー、認証期限、取得できていない日付がないかを見ます。
- 未登録明細を処理する:内容が不明なものを無理に経費にせず、請求書や社内確認へ戻します。
- 重複と口座振替を確認する:手入力と同期明細、銀行間移動の両側、クレジットカード引落しを照合します。
- 修正後に再照合する:普通預金の残高だけでなく、売掛金、未払金、カード残高にも不自然な動きがないかを見ます。
よくある原因を、実務の順番で切り分けます
銀行明細は来ているが、取引登録が終わっていない
明細が「未登録」のままなら、同期残高は動いても登録残高は動きません。件数が多いと一括登録したくなりますが、売上入金、借入金、役員からの入金、預り金では相手科目が違います。摘要だけで決めず、取引の中身を確認します。
手入力と同期明細が両方残っている
請求書を見て先に支払を登録し、後日取り込まれた銀行明細も経費として登録すると、支払が二重になります。先に未払金を計上している場合、銀行明細側は新しい経費ではなく未払金の決済になるのが基本です。
自社口座間の移動が片側だけ、または二重になっている
普通預金Aから普通預金Bへ資金を移した場合、会社全体では資金の置き場所が変わっただけです。片方を経費、もう片方を売上にすると利益まで動いてしまいます。freeeの口座振替として対応させ、両口座で同じ取引を別々に登録していないかを確認します。
同期開始日より前の明細が抜けている
金融機関との接続時期や取得可能期間によっては、必要な明細がすべて自動取得されないことがあります。freee公式ヘルプでは、同期非対応口座や不足期間について明細ファイルを取り込む方法も案内しています。CSVを追加する前に、既に取り込まれた期間と重ならないようにしてください。
開始残高そのものが違う
差額が期首から存在するなら、当月の取引だけを見ても直りません。前期の確定決算書、口座別の内訳、freeeの開始残高を比べます。この場合は会計ソフトの期首残高が合わないときの確認順もあわせてご覧ください。
実例
月末の銀行残高が100万円、freeeの登録残高が112万円だったとします。確認すると、銀行間の資金移動を出金口座では正しく登録していた一方、入金口座では売上として手入力し、同期明細も未登録で残っていました。
この場合、12万円の差額仕訳を一つ入れるのではなく、誤った売上登録を取り消し、銀行間の移動を口座振替として対応させます。売上も同時に直るので、預金残高だけでなく月次利益も再確認します。
残高が合えば、税務上も問題ない?
そう単純ではありません。預金残高が一致しても、経費の相手先、取引日、内容、税率、インボイス情報が誤っていれば、消費税や法人税の計算に影響します。
国税庁は、仕入税額控除について区分経理に対応した帳簿と請求書等の保存を原則としています。銀行明細は支払の事実を確かめる重要資料ですが、それだけで取引内容や仕入税額控除の要件がすべて分かるわけではありません。残高照合の後に、金額の大きい取引や税区分が不明な取引を証憑と突合します。
税理士へ相談する前に用意したい資料
- 差額を確認した基準日と、銀行の実残高
- freeeの同期残高・登録残高が分かる画面または出力資料
- 差額が発生した期間の銀行明細
- 未登録明細、重複候補、同期エラーの一覧
- 口座間の資金移動、借入返済、カード引落しの資料
- 前期決算書と口座別の期首残高
資料が全部そろうまで待つ必要はありません。「いつまでは合っている」「どの口座だけ合わない」という情報だけでも、確認範囲をかなり絞れます。決算直前より、差額に気づいた月のうちに確認した方が、元資料を追いやすいものです。
FAQ
差額を雑収入・雑損失で合わせてもよいですか?
原因が分からないまま差額だけを処理するのは避けます。売上や経費の二重計上、未処理の債権債務が隠れることがあります。原因が特定できない場合も、調査範囲と重要性を整理したうえで処理方針を判断します。
明細を削除して取り込み直せば直りますか?
登録済み取引、開始残高、請求書連携との関係を確認せず削除すると、別の重複や欠落が生じます。削除前に対象期間をバックアップし、どのデータを正本とするか決めてください。
資料が足りない月も相談できますか?
可能です。銀行から再取得できる期間、freeeに残る同期明細、請求書や入金管理表を組み合わせ、どこまで復元できるかを確認します。資料不足の程度により追加作業や見積りが変わります。
オンラインでも残高確認を依頼できますか?
オンライン対応も可能です。freeeの閲覧権限、銀行明細、決算書等を共有して進めます。IDやパスワードそのものをメールで送るのではなく、会計ソフトの権限機能を使います。
料金はいくらですか?
月次顧問、記帳代行、過去月の立て直し、決算申告のみでは範囲が異なります。標準的な考え方は法人顧問料金で確認できますが、正式な金額と契約条件は会計データの状態を見たうえで見積書・契約書により個別にご案内します。
残高照合を、毎月の経理が回る仕組みに変える
預金残高のズレは、単なるfreeeの操作ミスとは限りません。誰が明細を登録し、誰が内容を確認し、いつ月次を締めるかという運用の問題が表れていることもあります。
浅井匠也税理士事務所では、freee等の会計データと銀行明細を確認し、自社入力の修正、記帳代行・一部代行、月次顧問、決算申告のどこまで必要かを整理します。ご相談時は、会計ソフト名、合わない口座、最後に合っていた時期、直近の申告期限をお知らせください。お問い合わせフォームから概要を送付いただけます。
免責・公式参考資料
本記事は一般的な情報です。修正方法、税区分、過年度申告への影響は、取引内容、証憑、会計方針、申告状況により異なります。個別の処理は資料を確認して判断してください。

